その物語が好きだったかどうかは別にして(いや、確かに好きだったとは思う)、その物語は、私の人生の指標となった。
子供の頃の夏休みに、一日に二度、その物語を読んだ。その頃、家にあった、講談社少年少女世界文学全集とかなんとかいう、全集で。
それから、私はフランスに特別な思いを抱き、フランス語を少し学んだ。
映画やドラマが作られると、可能な場合はそれを見た。 切ない人々たちのお話。
還暦を超えた今でも、まだ、その物語を思い出すと、目頭が熱くなり、心を締め付けられる気分になる。
苦しくてつらい、愛しい物語。
ああ、無情
ジャン・バルジャンに、なれなかった。